独習にも役立つブルームの分類法

何を持って学習できたと判断するのか、認知プロセス面でそれを定義づけたのがブルームの教育目標分類です。1956年に世に出ており50年以上経過しているので、批判などをもとに最近では改訂版(Revised Bloom's Taxonomy, RBT)というものが提唱されています。

オリジナルの分類

ブルームの分類法は思考の段階を

  1. 知識
  2. 理解
  3. 応用
  4. 分析
  5. 統合
  6. 評価

の6つに分けるというもので、もっとも単純なレベルである「知識」から最高度なレベルの「評価」へと思考の段階が移っていくとされています。

改訂版

近年ブルームの教え子だった Anderson らがブルームの分類法の矛盾点や問題点を整理して改訂版を作成しています。そのなかで知識次元という次元を設定し、また従来の認知過程次元についても見直しを行いました。

追加された知識次元は次のように分類されています。

  1. 事実的知識(factual knowledge) 断片的な情報
  2. 概念的知識(conceptual knowledge) 分類、区分
  3. 手続的知識(procedural knowledge) 知識をどの局面で使うか
  4. メタ認知的知識(meta-cognitive knowledge) 如何にアレンジするか

さらに認知過程次元についてはブルームの分類法を次のように見直しています。

  1. 記憶
  2. 理解
  3. 応用
  4. 分析
  5. 評価
  6. 創造

以下に認知過程次元を図で表してみました。オリジナルと改訂版では再高次の2つが入れ替わっているのがわかります。

で、この分類法は教師がテストやカリキュラムを作る際に一番効果を発揮するわけですが、これを利用することで自分の学習の進捗を測ることができるようにもなります。
このリンクから Taxonomy Table をダウンロードして印刷し、例えば本を読む時などに一章読み終えるたびに参照してみましょう。その際、自分がどの思考レベルにあるかを確認しながら読み進むことで、その本に書かれていることを会得できているかを診断できると思います。
勝間和代さんが書いた本の中でこのブルームの分類法が取り上げられて若干有名になったようですが、残念ながら彼女の取り上げたのは50年前のオリジナルの分類法、ということで彼女の書いた内容を読者が自分自身で改訂版ブルームに当てはめなおして今一度考えなおしてみるのも一興かもしれませんね。

References

Anderson, L.W., Krathwohl, D.R., Airasian, P.W., Cruikshank, K.A., Mayer, R.E., Pintrich, P.R., Raths, J. and Wittrock, M.C. (eds.) (2001). A taxonomy for learning and teaching and assessing: A revision of Bloom’s taxonomy of educational objectives. Addison Wesley Longman.
Anderson, L.W., et al., eds. A taxonomy for learning, teaching, and assessing : a revision of Bloom's Taxonomy of educational objectives. Complete ed. 2001, Longman: New York.

Taxonomy for Learning, Teaching, and Assessing, A: A Revision of Bloom's Taxonomy of Educational Objectives, Abridged Edition

Taxonomy for Learning, Teaching, and Assessing, A: A Revision of Bloom's Taxonomy of Educational Objectives, Abridged Edition

  • 作者: Lorin W. Anderson,David R. Krathwohl,Peter W. Airasian,Kathleen A. Cruikshank,Richard E. Mayer,Paul R. Pintrich,James Raths,Merlin C. Wittrock
  • 出版社/メーカー: Longman
  • 発売日: 2000/12/29
  • メディア: ペーパーバック
  • この商品を含むブログ (2件) を見る
Bloom, B.S., et al, Taxonomy of EducationalObjectives:HandbookI:Cognitive Domain, Longmans, Green and Company, 1956.
Taxonomy of Educational Objectives, Handbook 1: Cognitive Domain

Taxonomy of Educational Objectives, Handbook 1: Cognitive Domain

Marzano, Robert J., and John S. Kendall.2007. The New Taxonomy of Educational Objectives, 2nd ed. Thousand Oaks, Calif.: Corwin Pr.
The New Taxonomy of Educational Objectives

The New Taxonomy of Educational Objectives