IT業界で働く女性は無視できない勢いで減っているらしい

今までIT業界にいて気にもならなかったのだけど、言われてみてそういえばそうだよなーと思うのが女性の少なさ。実感でいえばエンジニアの8割、もしくは9割以上が男性だ。例えばエンジニア向けのイベントに行って女性(もちろんお客さん側でね)をみるのはきわめてまれである。

アメリカも同じような状況であり、IT業界で働く女性を増やすために The National Center for Women & Information Technology (NCWIT) という非営利団体マイクロソフトや HP、Intel などといった企業により設立されている。で、その NCWIT が発表したレポートによると IT 以外の理系企業では女性の働く割合は増えているが IT で働く女性は無視できない勢いでどんどん減っているということだ。この傾向が続くと 2018 年までにアメリカのIT企業は需要のわずか50%しか雇用を満たすことができないと述べられている。

■ IT業界で働く女性が少なくなることによるリスク

才能の不足
2008年度の学士取得数の女性比率は57%だったがコンピューターサイエンスにおいてはわずか18%のみ - 1985年度には37%であり、半減。また、実際に働いている内訳としても女性はわずか25%のみであり1991年の36%という数字から落ち込みを見せている。
イノベーション、生産性、競争力の減少
女性と男性からなるチームは平均より26-42%も多く特許を取得しており、女性と男性が同数であるチームは、よりチャレンジ精神にあふれ創造的であり、知識を共有し、仕事を完遂している。また、適正な条件だと、多様性のあるメンバー(ようするに男女比率が極端ではない)からなるチームは最高の才能を持ったメンバーで構成されるチームを常にしのいでいる。
財務的なロスと顧客満足度の低下
シニアマネジメントの位置に女性がいるチームは35%多くのリターンを獲得し、株主に34%多くをリターンしている。

■ 社会的ロス

現在、ITで働く女性のうち56%がキャリアの途中で会社を去っている。さらに問題があり、辞めた女性の半数はIT業界そのものから離れていくのだ。自分としてはここが一番懸念に思うところ。せっかくいろいろな知識を身につけた人材が他の会社でその才能を生かすことなく業界を去っていくのは、社会的に見てかなりのロスである。

レポートには上で述べたような研究結果の詳細や、性差による給料格差の問題もとりあげられているのでご一読あれ。

http://www.ncwit.org/pdf/NCWIT_TheFacts_rev2010.pdf


日本ではまずIT業界の悪しき労働環境を改善するのが先決であり、上記のような議論の素地さえ整っていないのが歯がゆいところだ。


ところで devchix という女性のエンジニアのみからなるグループがアメリカで活動しており、メンバーには経験豊かなプロフェッショナルのほか、自分でIT企業を運営している人もいるようなのでIT企業で働く女性たちにとって参考になることがいろいろあると思う。「開発者グループのなかで女性は自分ひとり」というような女性エンジニアの方は参加してみるとよいのでは?
http://www.devchix.com