OSS開発の国際化について

本当はいろいろ書きたいことがあるのだけれど、書けるレベルにまで自分をなかなか引き上げられない。といってこのまま書かないのも何なので、今日はOSSを巡る国際情勢についてちょっぴりだけ書く。

今のOSS界隈の動きは実は自分が経験した中でも凄まじいことになっているのだ。
中でもすげーと思っているのはコミッタ、コントリビュータの国際化だ。もうね、名前からしてこれどう読むんだろうって人が増えている。10年くらい前までは欧米の人たち中心だったOSS界、今や完全にボーダーレス化しているんだよね。
露出が高まっているなと感じるのは中南米、ロシア・東欧、インドなんかの人。

もうさ、これだけ多くのOSSプロジェクトが乱立しているとそれに寄与できる人材の増加って追いついて行かないんじゃないかって危惧した(なんて上から目線な!)時もあったんだけど、どうやらそんな心配なんてこういった開発者の多国籍化によって杞憂に終わったようだ。ま、そんな中で日本はどうなのよっていう憂慮は残る。国際化だグローバルマーケットだって言う話はもうみんな耳にタコができるくらい聞いている訳だけど、それは何も日本の中だけじゃなくって世界中の国々で叫ばれている話なんだ。景気のいい話を聞けるのなんてほんのわずかな国だけであって、それ以外の大部分の国では日本と同様に景気が悪くって、だから身軽なITを使って何とかしようってそっこらじゅうでみんな必死に考えているってわけ。で、その一端がOSSという世界にも表れているんだろうなって思ってる。

悲しいことにその、一番競争に晒されている業界の中でいささかあぐらをかいているように見えてしまうのが日本なんだよね。
Ruby 以外ではあまりコミッタやパッチ投げたりしている日本人見かけないもん。
もちろんいることはいるってことはわかってる、ただ絶対数があまりにも少ないんじゃないかってこと。日本独自でユーザコミュニティ作って裾野を広げていくっていうことは確かに重要なこと。でもフィードバックが少ないっていうのはあまりにも切ない。

これは全く持って私見なんだけど、会社がもし抱えている開発部隊の技術力を上げたい場合に手っ取り早いのはOSSの開発に少しでも加わってもらうってことだ。もちろん「ウチの会社の商材オープンソース化します」って誰もソース読みたがらないようなものの開発じゃなくて既にきっちり開発コミュニティが形成されているようなところのね。例えば Ruby とか。

OSSの開発から得られるもののスゴさを理解している経営層なんてホント悲しいことにほとんどいないんだろうけど、実はめちゃめちゃ莫大なんだ。わずかな時間で気付いたものだけでも

  • ソースの読解能力
  • 影響範囲の特定能力
  • テストを常識と捉えられる能力
  • スゴいと思える先輩
  • コンセンサスを得るための説得能力
  • ビューティフルコード!

などなど。4番目の先輩ってなんだそれって感じだけど、ある技術者が会社の中でしか開発していなくてその人がスゴいと思えるような人材が社内にいない場合、会社からいなくなってしまう可能性が高まるから重要だよね。

こうして OSS 開発に従事してもらうことでそのコミュニティにとっても会社にとっても Win-Win という関係が出来上がる。経営層には将来を見据えて是非一考願いたいものだ。