IT系企業のWebサイトに多く見られるサイト作りにおける失敗例

IT系企業のWebサイトに魅力を全然感じないのはなぜか?本来であればこの分野に長けていて不思議はないハズなのに、もうあたり一面死屍累々といった感じなのである。そういったサイトにありがちなパターンは本文に抽象的なキーワードが散りばめられ、何を言っているのかわからないこと。中でも程度を表すものについては注意する必要があったりする。

最
ベスト
高
長
低
安
全
強
圧倒的
先進的
卓越した
短
大
小
迅速
上
豊
明

ここにリストアップされている文字、あるいは単語が入っていると途端に文章がボヤけてしまい、読み手はたちまちにして白昼夢へトリップだ。トイレに席を立つだけでもそんなサイトを見たことを忘れてしまうだろう。例えば、ということでよくありがちな文章をひとつ部分的にピックアップしてみよう。

「〜技術力で高品質、かつ最適なソリューションを提案します。」

もうね、これだけでもかなり傲慢な文章だ。作り手のためだけのこんな文章がトップページに混じっているのを見ただけでホントうんざりする。

誰も好き好んで低い品質のものを買いたいって思わないよね。
最適なソリューション??え?最適ってどうやって分かるの?
それとも・・・これって見積もり金額が高い言い訳?

ではそんな高品質で最適なソリューションを提供してくれる企業サイトの採用ページを見てみよう。

「未経験者可、あなたのやる気を応援します」

・・・バカにしてんの?


と、惨憺たる状況なのだ。



なんでこんなことになっているのか?

それは一つにはウェブサイトという存在をとことん軽視しているからだ。
もうひとつにはPRということに対して全く無知で、まさかそれが自分の会社で必要になっているだなんて想像もしていないから。
もちろん、BtoBであればウェブサイト経由で仕事が入ってきたことなんか一度もないし、その必要もないのでウェブサイトなんかどうでもいいんだよね。そういったサイトの中には社長のブログや Twitter がリンクされていて、そこまではいいんだけど肝心の内容がどうしようもないものだったり(行った見た食っただけという内容の薄さに加えて愚痴が挟まれているのとか)、あげくの果てには新入社員にサイト作りを全部任せているようなものさえあるなどとヒドさ満点、このように効果的なPRを行えるはずの場所が全くもって残念なことになっているのがIT系企業サイトには結構多い。

そんな残念なサイトをどうにかする方法はないのだろうか?もちろんウェブ担当者(これまたいるかいないかといえばそもそもいない方が多いのだろうけど)がいてサイト運営に問題意識を持つ、というのが大前提なんだけど・・・。

ヒントの一つは美容を扱うサイトにあると思っている。
美は人によって基準は様々でものすごく抽象的だ。だからもし化粧品会社のようなサイトで「私たちの優れた技術で作り上げた高品質の基礎化粧品により、あなたの肌に最適なソリューションをお届けします。」という文章がただ書いてあるだけだったとしたら売上は伸びるどころか減少してもおかしくない。

ということで彼らの手法を理解すべくいくつかピックアップ(するまでもないことだと思うけど)

資生堂
http://www.shiseido.co.jp/

ノエビア
http://www.noevir.co.jp/

ファンケルなんかも
http://www.fancl.co.jp/

ちょっと見てもらえればわかるとおり、ビジュアルの持つ力は絶大だ。美容業界のサイトにおいて言葉を裏付けるものとはやはりビジュアルなんだよね。

ではIT企業のサイトにおいて言葉を裏付けるべきものとは何だろうか?
それはやはり実績だと思う。確かにいくつか導入実績が載っているようなサイトもあるけれどただ箇条書きで企業名が載せられているだけとか・・・。導入している会社数が数百以上なら数字だけでもいいんだろうけど、少ないなら少ないなりに定期的に追加される Testimonial の形でカバーしようよ。現在の顧客の喜びを未来の顧客へ伝える努力をしていかないと伸びないってば。

次にIT企業が行うPRの好例を挙げてみる。登場するのは37signals
また37signalsかよと思うかもしれないがそうなのである。なぜならあの会社は実は Tech Company という側面のほかに、優れたPR手法を持つ会社としての印象が強いからだ。

彼らのベースにあるPR戦略はまず「他の会社と違っていることを前面に出しまくる」ということに尽きる。
彼らが出している書籍ではどんなことが述べられているだろうか?
他の会社がやっているようなことは述べられていないし、むしろエポックメイキングな話題ばかりだよね。週4日勤務だとか。
彼らの製品はどうか?技術的に敵わない?いやそんなことはないハズだ、ちょっとした時間があれば同じようなものは作れるよね。むしろ競合製品より圧倒的に低機能でさえあるのだけれど彼らはかなりの数を売り上げている。低機能であるという、他社ならウリにしないところを逆にウリにしてね。
さらには Ruby on Rails。自分が一番すごいなと思うのは実は開発者である DHH のイケメンっぷりだ。こればっかりは何をもってしても敵わない。Jason Friedの顔は知らなくてもDHHの顔を覚えている人って多いんじゃなかろうか。技術的にすぐれた点を押し出す他社に対してなんと37signalsはイケメンで対抗なのだ!
他に特筆すべきこととしては彼らのやっていることからPRの臭いがほぼしないってこと。これもかなり難しいことなんだよね。


ん・・・と、なんだかネタに近い雰囲気になりつつあるので、日本でPRのうまいトコを挙げてみる。

自分的にスゲーと思っているのはnanapiを運営しているロケットスタート
nanapiはもうちょっとでリリースしてから一年というところだ。でも、たったこの一年で急成長しているサイトだ。ここではそのすごい点を書かないけど、見れば見るほどうまくできているなーとただただ尊敬するばかり。今月リリースしたnanapiワークスでさらに今後その知名度はあがり、利用者数も増えていくだろう。

すげーすげーと感心するばかりじゃなく、自分も何か考えないとね。


最後に、資生堂のCMで一番お気に入りのを。


※すみません、ロケットスタートさんをロケットスタジオと誤記していました。お知らせありがとうございます!